ストーリー
大好きな人と一緒にいたい
出会いは、高校の美術室。
好きな作家の画集を見て、好きな本の話をする…。そんな雪夫と由茉の平凡な日々は、「私ね、あと1週間で死んじゃうの」という由茉の突然の告白によって一変する。その言葉に雪夫の心は乱れ、気持ちが追いつかずにいたが、彼女はすでに自分の運命を受け止め、残りの人生を精いっぱい生きると決めているようだった。そんな思いを受け止めた雪夫は、彼女との残り少ない日々に寄り添う決意をする。
由茉にはやりたいことがたくさんあった。
今まで人目を気にしてできなかったファッションに挑戦することや、日本一のカレーを食べに行くこと。そして何よりも残り少ない日々をふたりで一緒に過ごし、最期の瞬間までお互いのぬくもりを感じ合うこと。
そんな“奇跡的な日々”を過ごした2人は、間違いなく“ハピネス”だった──。
監督:篠原哲雄
1962年2月9日生まれ。東京都出身。助監督や自主制作で経験を積んだ後に、1993年に爆笑問題の太田光主演の中編『草の上の仕事』(93)で注目を集め、山崎まさよし主演の初長編映画『月とキャベツ』(96)がヒット。その後も山崎とはオムニバス映画『Jam Films』の「けん玉」(02)、BUNGOシネマにて太宰治原作の「グッドバイ」、『影踏み』(19)、そして本作でタッグを組んでいる。2018年の『花戦さ』で第41回日本アカデミー賞優秀監督賞を獲得した。主な映画作品として『はつ恋』(00)、『深呼吸の必要』(04)、『天国の本屋~恋火』(04)、『真夏のオリオン』(09)、『花戦さ』(17)、『犬部!』(21)などがある。公開待機作に『本を綴る』(24)がある。
「ハピネス」はネタバレをしてはならない作品である。17歳の人生に起きてしまう運命的な出来事。寄り添う家族や友人がそれをどう受け止め、懸命に振舞うか?その自然で人間的な営みを日常の出来事として丁寧に掬って描いていくこと。これらを演出の命題として取り組んだ。もう一つ、人には大切にしている特別なものがそれぞれある。夢を果たすために後悔なく行動すること。窪塚愛流、蒔田彩珠の一見贅沢な振る舞いが実は慎ましさに満ちている。その切実さこそが「ハピネス」の根幹なんだと思う。
脚本:川﨑いづみ
1978年、東京都生まれ。日本映画学校シナリオ学科を卒業。「ドS刑事」(15)、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16)、「赤ひげ」(17)シリーズ、「絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男」(21)シリーズ、「福岡恋愛白書13」、「にぶんのいち夫婦」、「部長と社畜の恋はもどかしい」、「隣の男はよく食べる」、「ながたんと青と」、「単身花日」等のテレビドラマ、『夜明けの街で』(11)、『源氏物語 千年の謎』(11)等の映画作品がある。
原作:嶽本野ばら
この作品を書き終えた時、引退しようと思っていました。それほどまでに読者に届けたい全てを込めることが出来たからです。2006年に出版した小さな物語が何故、あと少しで20年を経ようとする今、映画として求められたのか...。作品が作者の手を離れて読む人、一人一人の特別な記憶として所持されるように、映画版もまた観る人、一緒に観た者同士の、かけがえのない記憶になればどれだけ光栄なことか。
最後に一言。大好きな作品です!貴方もこれを"ハピネス"なラブストーリーとして抱え持ってくださることを期待して!