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イントロダクション

「私ね、あと1週間で死んじゃうの」
恋人の突然の告白からはじまった“ふたりの7日間”は、悲しいけれど、幸福と愛に満ちあふれた、かけがえのない奇跡だった──。 残り少ない日々を命の限り輝かせようとする少女と、そんな彼女の夢を全力で支えようと奔走する少年とが繰り広げる純度100%のラブストーリーがここに誕生した。

物語の主人公は、心臓の病気のため、医者から余命1週間と告げられた高校2年生の由茉と、突然の告白に戸惑いながらも、彼女との幸せな日々を一緒につくりあげることに協力する恋人・雪夫。逃れられない運命に対する絶望や動揺、怒り、悲しみなど、すべての感情を抱え込んだ上で、慎重に生きることよりも、残りの人生を笑顔で、幸せに過ごすことを選んだ2人。

「下妻物語」の作者・嶽本野ばらによる同名小説を人間ドラマの名手篠原哲雄監督が映画化。主人公の2人を映画『麻希のいる世界』『少女は卒業しない』、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」などで注目の若手俳優・窪塚愛流と、映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『朝が来る』やドラマ「おかえりモネ」の若き実力派・蒔田彩珠の2人が好演。雪夫を全力で応援する姉・月子に橋本愛、余命わずかな娘の幸せを願う由茉の両親に山崎まさよしと吉田羊ら実力派俳優が脇を固める。

命が燃え尽きる瞬間まで、愛する人のぬくもりを感じ続けていたい──
自分らしく生きるということがどれほど尊くて、ハッピーなことなのか。
そんな奇跡のような7日間の物語に、きっと誰もが“ハピネス”に包まれる──

ストーリー

好きなお洋服を着て、好きなものを食べて、
大好きな人と一緒にいたい

出会いは、高校の美術室。
好きな作家の画集を見て、好きな本の話をする…。そんな雪夫と由茉の平凡な日々は、「私ね、あと1週間で死んじゃうの」という由茉の突然の告白によって一変する。その言葉に雪夫の心は乱れ、気持ちが追いつかずにいたが、彼女はすでに自分の運命を受け止め、残りの人生を精いっぱい生きると決めているようだった。そんな思いを受け止めた雪夫は、彼女との残り少ない日々に寄り添う決意をする。

由茉にはやりたいことがたくさんあった。
今まで人目を気にしてできなかったファッションに挑戦することや、日本一のカレーを食べに行くこと。そして何よりも残り少ない日々をふたりで一緒に過ごし、最期の瞬間までお互いのぬくもりを感じ合うこと。
そんな“奇跡的な日々”を過ごした2人は、間違いなく“ハピネス”だった──

スタッフ

監督:篠原哲雄

profile

1962年2月9日生まれ。東京都出身。助監督や自主制作で経験を積んだ後に、1993年に爆笑問題の太田光主演の中編『草の上の仕事』(93)で注目を集め、山崎まさよし主演の初長編映画『月とキャベツ』(96)がヒット。その後も山崎とはオムニバス映画『Jam Films』の「けん玉」(02)、BUNGOシネマにて太宰治原作の「グッドバイ」、『影踏み』(19)、そして本作でタッグを組んでいる。2018年の『花戦さ』で第41回日本アカデミー賞優秀監督賞を獲得した。主な映画作品として『はつ恋』(00)、『深呼吸の必要』(04)、『天国の本屋~恋火』(04)、『真夏のオリオン』(09)、『花戦さ』(17)、『犬部!』(21)などがある。公開待機作に『本を綴る』(24)がある。

comment

「ハピネス」はネタバレをしてはならない作品である。17歳の人生に起きてしまう運命的な出来事。寄り添う家族や友人がそれをどう受け止め、懸命に振舞うか?その自然で人間的な営みを日常の出来事として丁寧に掬って描いていくこと。これらを演出の命題として取り組んだ。もう一つ、人には大切にしている特別なものがそれぞれある。夢を果たすために後悔なく行動すること。窪塚愛流、蒔田彩珠の一見贅沢な振る舞いが実は慎ましさに満ちている。その切実さこそが「ハピネス」の根幹なんだと思う。

脚本:川﨑いづみ

profile

1978年、東京都生まれ。日本映画学校シナリオ学科を卒業。「ドS刑事」(15)、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16)、「赤ひげ」(17)シリーズ、「絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男」(21)シリーズ、「福岡恋愛白書13」、「にぶんのいち夫婦」、「部長と社畜の恋はもどかしい」、「隣の男はよく食べる」、「ながたんと青と」、「単身花日」等のテレビドラマ、『夜明けの街で』(11)、『源氏物語 千年の謎』(11)等の映画作品がある。

原作:嶽本野ばら

comment

この作品を書き終えた時、引退しようと思っていました。それほどまでに読者に届けたい全てを込めることが出来たからです。2006年に出版した小さな物語が何故、あと少しで20年を経ようとする今、映画として求められたのか...。作品が作者の手を離れて読む人、一人一人の特別な記憶として所持されるように、映画版もまた観る人、一緒に観た者同士の、かけがえのない記憶になればどれだけ光栄なことか。
最後に一言。大好きな作品です!貴方もこれを"ハピネス"なラブストーリーとして抱え持ってくださることを期待して!

主題歌

パンタシア

三月のパンタシア
曲名:『僕らの幸福論』

プロフィール

終わりと始まりの物語を空想し、青くて痛い青春時代の繊細な感情を暴き続けるボーカル「みあ」を中心としたプロジェクト。 2016年6月1日にTVアニメ『キズナイーバー』のエンディングテーマ「はじまりの速度」でメジャーデビュー。

2018年からは、みあ自らが書き下ろす小説を軸とし、“音楽×小説×イラスト”を連動させた自主企画『ガールズブルー』をSNS/Web上で展開。 “言いたくても言えない切なさ”“素直になれない心の詰まり”を音楽に昇華し、青春期という多感な季節の揺らぎをポップに描く。『ガールズブルー』第一弾として発表した楽曲「青春なんていらないわ」はYouTubeにて1,400万回再生を記録。 物語の世界観を表現したワンマンライブは人気を集め、2020年1月に開催した自身最大規模となる豊洲PITでのワンマンライブのチケットは即日SOLD OUTに。2024年3月、東京・大阪、そして初の海外単独公演となる上海・広州を含めたワンマンライブツアー 三月のパンタシア LIVE 2024「ブルーアワーを飛び越えて」を開催中。 繊細で青々しい音楽表現は、10代~20代を中心に様々な世代のリスナーへの高い訴求力を秘めている。

三月のパンタシア
みあコメント

この映画は、生きることの意味、生まれてきた意味、そして死ぬことの意味を深く感じさせてくれる作品だと思います。
それはきっとひとりきりでは知ることができなくて、大切な人と出会えたことではじめて気づける。肌と肌の重なり合う優しい体温や命のぬくもりを感じながら、はじめて愛という幸福に触れられる。映画の中の雪夫と由茉のふたりを見つめながら、そんなことについて考えさせられました。主人公の雪夫が愛を知って強くなれた想いや、惹かれあったまま引き裂かれる幸福について歌詞を書き、雪夫の気持ちに寄り添うように歌っています。映画とともに愛してもらえたら嬉しいです。

原作情報

原作:嶽本野ばら「ハピネス」(小学館文庫刊)

原作公式サイト